壱のうそ作品一覧

『バーブの点滅と』

恋人同士の渓助(たにすけ)と庭子(にわこ)はごく普通の平凡な生活 を送っていた。ある日、庭子は部屋の掃除中に掃除機のホースに身体が吸い込まれてしまう。体の胴まで掃除機と一体化し、蛇女の様な姿になった庭子。徐々に体が無くなっていく恐怖に嘘をつきながら渓助との生活にしがみつく。庭子の死の匂いを感じ、公園で踊る女に逃げ場を求めながら渓助もま た、それでも無理矢理生活を送ろうとするのだった。

DATA

監督・脚本・編集:増田佑可(ますだゆか)
25min/DV/16:9
キャスト:石黒淳士 島なぎさ 河合ふみ乃 西村公一
撮影:増田佑可/録音:森谷将之/助監督:浅田宏次/照明:濱口憲嗣/美術:山田まよ/衣裳:安達亜希/ヘアメイク:田部絵里奈、佐藤可奈子
音楽:kamitani/編集:林昌樹/整音:森谷将之/プロデューサー:林昌樹/制作:佐藤良祐

監督 増田佑可

profile

1984年生まれ。愛知県出身。愛知県在住。名古屋ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業。高校卒業と共に制作した作品『高校赤子』他、『さようなら私の毛深い猫(04)』、『モーターワークフィッシュが真夜中(06)』などが調布映画祭ショートフィルムコンペディションで入賞。他、名古屋の自主映画では主に美術、衣装製作等のスタッフとして参加。

message

『生きるとは死や虚無的な事に嘘をつくこと』
嘘とは善し悪し関係なく私たちの生活の中に息づくもの…。
生きていくうえで必然的に在り、人間の「生」そのものにも繋がっている…と感じた事が始まりでした。

コメント

ニンゲンつきつめたら一本の管であるのだから、日々イロイロ出したり入れたりタイヘンなのである。カノジョの海辺の吸引はウソで、居間にささったコンセントがホントであるなどと決めつけてはならない。
セカイの各所で「アル」と「ナイ」を絶えず繰り返すミエナイ釣針に触れたトキの微かなイタミに気がつけばもうけものだ。
天野天街(劇作家・演出家)
名古屋の天才少女・増田に瞠目せよ! 日常をさらりと変容させる彼女の手際の良さは天下一品。新作は団地の人魚姫。なんだろこの切なさ、怖さ、美しさは……。ちょっと他では見当たらない世界観がここにあるぞ!
村上賢司(映画監督・テレビディレクター)
増田佑可監督の『バーブの点滅と』は、とてもイヤラシい映画だ。そこに描かれているのは、監督自身の秘められた欲望であるような気もするし、鏡に映った私自身のスケベ心にすぎないような気もする。
いずれにしろ、どことなくインモラルな快楽が、暗い穴の彼方で誘うようにほのかに点滅している。そんな映画だと思った。
一尾直樹(映画監督)