恋人同士の渓助(たにすけ)と庭子(にわこ)はごく普通の平凡な生活 を送っていた。ある日、庭子は部屋の掃除中に掃除機のホースに身体が吸い込まれてしまう。体の胴まで掃除機と一体化し、蛇女の様な姿になった庭子。徐々に体が無くなっていく恐怖に嘘をつきながら渓助との生活にしがみつく。庭子の死の匂いを感じ、公園で踊る女に逃げ場を求めながら渓助もま た、それでも無理矢理生活を送ろうとするのだった。
監督 増田佑可
profile
1984年生まれ。愛知県出身。愛知県在住。名古屋ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業。高校卒業と共に制作した作品『高校赤子』他、『さようなら私の毛深い猫(04)』、『モーターワークフィッシュが真夜中(06)』などが調布映画祭ショートフィルムコンペディションで入賞。他、名古屋の自主映画では主に美術、衣装製作等のスタッフとして参加。
message
『生きるとは死や虚無的な事に嘘をつくこと』
嘘とは善し悪し関係なく私たちの生活の中に息づくもの…。
生きていくうえで必然的に在り、人間の「生」そのものにも繋がっている…と感じた事が始まりでした。
セカイの各所で「アル」と「ナイ」を絶えず繰り返すミエナイ釣針に触れたトキの微かなイタミに気がつけばもうけものだ。
いずれにしろ、どことなくインモラルな快楽が、暗い穴の彼方で誘うようにほのかに点滅している。そんな映画だと思った。