参のうそ作品一覧

『代理人会議』

とある事件を、世間にどう公表するかを決めるために7人の男女が集められた。

出席者は、A高校の教頭・学年主任・養護教諭の3名とB高校の教頭・広報担当・修学旅行の責任者の3名、そして目撃者1名。
の、ハズだったが…なんと出席した全員が『代理人』だった!話し合いは、脱線を繰り返し、思いもよらぬ方向へ—。

DATA

脚本・監督・編集: 石毛麻梨子 大木萠(いしげまりこ おおきもえ)
25min/DV/16:9
キャスト:柳沢均 沼口直人 神谷彩乃 瀧口修平 安野泰子 工藤淳一 吉岡睦雄  梶田豊土
撮影:名倉愛/照明:篠原南雄、川上高広、玉川直人/録音:大森瑞生、野崎貴史
美術:伊藤淳/装飾:河端隆輔、野崎芳史/小道具:大橋瑛子
音楽:高橋在也/スクリプト:小林宏彰/スチール:柴山友彦/製作:おしゃれももひき

監督 石毛麻梨子/大木萠

profile

石毛麻梨子(左)/1981年生、東京都出身。映画美学校第九期フィクションコース高等科修了。大学在学中に、長編映画『THE☆SETOUCHI』(03)を製作。その後、三ヶ月に一本のペースで短編を撮り続け、『ポーポロ動物園』(09)が調布市ショートフィルムコンペティションでグランプリを受賞する。

大木萠(右)/1986年生、北海道出身。日本ジャーナリスト専門学校報道マスコミ科第一期卒業。在学中にドキュメンタリー作品『若者たち』(07)を製作。その後、番組制作会社に就職するも映画の世界に方向転換。監督作品に、短編『音速アゲイン』(09)がある。

message

「普通」とは何か?
「普通」とは、個々人の指標に過ぎない。
代替可能な「普通」の人たちが、何よりも「普通」でないのだ。

コメント

短い時間に凝縮された人間模様、妙にリアルな会話を聞きながら、日常生活の中にはいったいいくつの「うそ」が隠れているのだろう? と考えたくなった。
荻野清子(音楽家)
会議が中断された後の喫煙所のシーンがいい。そこでは対立する立場を超えて、喫煙者たちの間にゆるやかな連帯が生まれる。禁煙ファシズムが静かに進行する現在の世界で、抑圧される者たちのよるべない姿が、漂う紫煙とともに描かれており、見事だ。
井土紀州(脚本家・映画監督)
当事者でなく、代理人ばかりが集まっての会議というアイデアは悪くない。いわば、一幕もののコントといったところか。それが、「桃まつり」の中に置かれると、他の作品との色合いの違いが特徴として目立ちもする。だが、一室に閉じこもって会議だけで見せるには工夫がなさ過ぎるし、終わり方に捻りがなさ過ぎる。『十二人の怒れる男』を見習えとまではいわないが、動きを封じられた空間に、いかに映画的な動きを導き入れるかについて、もっと知恵を絞ってもらいたい。
上野昂志(映画評論家)