参のうそ作品一覧

『離さないで』

「これを小説にして下さい」?スランプの小説家・未知子に一通の手紙が届く。事故死したはずの親友を恋人・高雄が殺していたという内容だった。黙ってそれを小説に書き始める未知子に、高雄は追いつめられて行く。

DATA

脚本・監督・編集:福井早野香(ふくいさやか)
26min/HD/16:9
キャスト:奥田恵梨華 野村修一 森田亜紀 神谷彩乃 金子和石 中島和子 曽根浩貴

撮影:四宮秀俊/照明:篠原南雄、川上高広/美術:村本哲人、伊藤智之/録音・整音:須永恵介/音楽:王健治
制作担当:海田晃弘/衣裳:佐々木敦子/ヘアメイク:長窪美恵(atelier ism)、正田来香(atelier ism)

監督 福井早野香

profile

1982年生、神奈川県出身。武蔵野美術大学卒。映画美学校研究科在籍中。初監督作品『そこへ行く』(07)が映画美学校セレクション2008にて上映される。10期高等科コラボレーション作品『×(かける)4』(08/万田邦敏監督)で脚本を担当。

message

女の嘘なら、嘘をつくより見て見ぬ振りをすることの方が女っぽいと思いました。何も言わないのに男を追いつめて行く。そういう物語です。

コメント

女流作家に送られた一通の差出人不明の手紙が、彼女を、遠い過去に関係した秘密へと誘う。その手紙は、しかし突然彼女に送られてきたのではない。彼女が新作の題材を求めていたまさにそのときを狙って、彼女に届いたのだ。その秘密を絶対に小説化してはいけないが故に、小説化しないではいられないという彼女の背反した欲望を、まるで差出人が察知したかのように。では、差出人は誰なのか? 過去に足を踏み入れていく冒頭の電車内のシーンはすばらしく、見る者の心をつかむ。撮影の四宮はさらに腕を上げ、森田亜紀の暗さは映画を浸蝕する。
万田邦敏(映画監督)
離さないでなんて考えてしまったものだからこんなことに!
愛って苦労の多いもんです。
大杉 漣(俳優)
虚と実、実と虚の間を行きかう男と女。たとえカメラが動かなくとも、時間が動く。空間が動く。思いが動く。繊細にして大胆な福井演出とカメラマン四宮秀俊氏が生み出すしなやかな空間。観客は時として陶酔から奈落へ突き落とされ、ほんの少しのぬくもりを手にする事ができるのだろうか。私はしばらくの間、この二人のコンビから目が離せない。
芦澤明子(カメラマン)