季節外れの別荘地。聾の管理人・ショウタのもとに、「親子」と称する年の離れたカップルが電話を借りにやってくる。乗ってきた車のカギを無くし、その場で諍いをはじめた恋人たちを見て、ショウタは渋々そのまま別荘に招き入れる。持ち主不在の一軒家のなかで、恋人たちのうそがゆっくり形を変えていく。
監督 朝倉加葉子
profile
1977年生、山口県出身。東京造形大学に入学し、映画を撮りはじめる。テレビ制作会社でADとして働いたのち、映画美学校第8期フィクションコースに入学。同高等科修了作品『ハートに火をつけて』を監督し、映画美学校セレクション2008にて渋谷・ユーロスペースで上映される。現在は映画・ドラマの監督と助監督、脚本、編集などを行う。今夏、脚本監督したBSホラー短編ドラマが放映予定。
message
発端は、イーガンの「百光年ダイアリー」という短編だった。人生の出来事が記された日記、それを読んで育った人間はその内容通りに人生を経験し、その日の日記を同じ文章で上書きして書き残す世界の話だ。「見たい」未来と「見ないふり」した未来、そして「見ない」未来という永遠の一時停止。それはまるであれだ、そう恋の話。