弐のうそ作品一覧

『愚か者は誰だ』

浮気な女に惚れた男が、その女に対する執着心と決別するため知人の探偵を雇った。探偵はその女の不貞に直ぐ行き着くが、友人を想い事実を報告出来ない。女を単独尾行している探偵の車に男が急に現れた。成り行きで男を連れ、女のデートを尾行する探偵。しかし尾行がばれ、男は浮気相手と対峙することに。男はその場で女に別れを告げるのだが、彼女の在り様と浮気相手の挑発により男の意地を賭けて命を張り合うことになる。

DATA

監督・脚本渡辺裕子 (わたなべゆうこ)
28min/HD/16:9
キャスト:野村宏伸 斎藤 歩 渋川清彦 小林麻子
制作:杉原永純/撮影:飯岡幸子/DIT:山本大輔/美術:原尚子/照明応援:渡辺大介(ヒットロックス)

衣裳:小磯和代/ヘアメイク:橋本申二(atelier ism)正田来香(atelier ism)
音楽:長嶌寛幸/編集:山本良子/効果・整音:上條慎太郎/スチル:五十嵐岳彦

監督 渡辺裕子

profile

1981年生、愛媛県出身。武蔵野美術大学卒。映像制作会社でのAD修業を経て、2005年に東京芸術大学大学院映像研究科に入学。修了後、研究生として同大学院の後進の制作指導に関わる。主な監督作品に同大学院製作のオムニバス映画『新訳:今昔物語』の一篇『Wrestler Jeanne』、『エイリアンズ』がある。最近の活動としては、NPO映像メディア創造機構製作作品『UBIQUITOUS』の監督・脚本。濱口竜介監督最新作『永遠に君を愛す』では脚本を担当した。

message

登場人物の一人がコイントスで決断しようとする主人公に向かって言うセリフがあります。「ものを決めるって時に運任せにするのはどうかと思うね。運はもちろんある。けれど、決断を下すのは俺たち自身だ」。人の気持ちは変えられない。けれど、自分の気持ちは決められる。しかし、これはそうもいかない人間の映画です。

コメント

渡辺裕子と話していて『ボルベール<帰郷>』、『石の微笑』が好きだと知り嬉しかったが、その2作のように彼女の作品には「位相をずらしたような豊穣さ」が内包、より具体的に言えば、あらすじでは映画を観たときに受ける実感を説明できない魅力がある。彼女は逸材だと思う。『フォロー・ミー』の変奏曲のようなストーリー、雨や犬の使い方も興味深いが、『フォロー・ミー』で言えばトポル演じる探偵に匹敵する渋川清彦の味のある存在感は大きな収穫だった。
わたなべりんたろう(ライター・脚本)
この圧倒的なおいてけぼり感は何だろう。
謎はない。
深度の浅い映像にアフレコされた声が響く世界。人物たちも関係も浮き彫りのように明確で話はスルスル進む……待て、何かおかしい。なんでこいつら屋上にいるんだ?
気づいた時は遅い。渡辺裕子は容赦なく観客を置き去りにする。
最後の野村宏伸の顔、あれは私たちのものだ。
加藤直輝(映画監督/『アブラクサスの祭』今秋公開)