参のうそ作品一覧

『1-2-3-4』

10年前、芸術を志しひとつの家に一緒に暮らしていた男女4人、ユカリ、マナブ、トモコ、タカシ。現在ユカリとマナブは、六価クロムに汚染されていた過去の歴史を隠蔽し再開発されている東京のある団地に暮している。トモコの妊娠をきっかけに、揺れ動くユカリとマナブ。トモコの相手は海外で成功したタカシであった。別れの日、タカシのギターの響きと歌声がユカリの記憶を呼び覚ます…。男女四人の昔の記憶と今の現実の物語。

DATA

監督・脚本:玉城陽子(たまきようこ)
25min/HDV/16:9
キャスト:樋口史 上馬場健弘 金谷有理 半田さち子
脚本:金子裕昌/制作:金子裕昌、玉城陽子/撮影:清水信貴/音楽:金谷有理/編集:金子裕昌
撮影応援:高橋幸/制作応援:江崎智恵子、西 美江/太極拳指導:金谷有理

監督 玉城陽子

profile

1975年生、神奈川県出身。映画美学校5期。美学校卒業制作で初監督作品となる『カナ子』(01)、その後『白目物語』『赤い花』など年に1本のペースで自主制作作品を製作している。

message

嘘嘘嘘と何ヶ月も考え、嘘とは何ぞやとか、自分がついてきた嘘ってなんだったけと悩んでるその間にも、テレビではうわーこれは想像もつかないぞというようなおもしろい嘘つきたちの事件がたくさん報道されていていてぎゃふんとしたものでした。

コメント

危機的状況にある中年男女の、過去の心の襞と現実への煩悶と絶望、そして錯綜する恋愛感情……。
そこから<今>の小さな幸福に触れていくまでを女性の心の目を通して描いた実に抒情豊かな大人の名篇。
ラスト近くの、鉄橋を挟んだ男女の緩やかな歩みの憂愁と温もりは忘れ難く心に沁み入る。
大口和久(批評家)
監督の玉城さんは嘘が苦手な人なんだと思う。一生懸命嘘をつこうとするその姿勢が、2人の女性をとても魅力的にしている。男性陣がもっと嘘をつきたそうな顔をしているのが可笑しいが、4人の関係は始まったばかりだ。
高橋 練(NHKドラマプロデューサー)
玉城陽子は押入の中の少女だ。押入の隙間から覗くような目で、捉えがたい登場人物を捉えようとする。その意志を観客は作家と共有する。登場人物の男女4人もまた互いをなかなか捉えきれず、やがて最も近づきたい相手との、距離の共有を発見する。共有こそがコミュニケーションだ。さあ、映画『1-2-3-4』を共有しよう。
島田 元(脚本・演出家)