10年前、芸術を志しひとつの家に一緒に暮らしていた男女4人、ユカリ、マナブ、トモコ、タカシ。現在ユカリとマナブは、六価クロムに汚染されていた過去の歴史を隠蔽し再開発されている東京のある団地に暮している。トモコの妊娠をきっかけに、揺れ動くユカリとマナブ。トモコの相手は海外で成功したタカシであった。別れの日、タカシのギターの響きと歌声がユカリの記憶を呼び覚ます…。男女四人の昔の記憶と今の現実の物語。
監督 玉城陽子
profile
1975年生、神奈川県出身。映画美学校5期。美学校卒業制作で初監督作品となる『カナ子』(01)、その後『白目物語』『赤い花』など年に1本のペースで自主制作作品を製作している。
message
嘘嘘嘘と何ヶ月も考え、嘘とは何ぞやとか、自分がついてきた嘘ってなんだったけと悩んでるその間にも、テレビではうわーこれは想像もつかないぞというようなおもしろい嘘つきたちの事件がたくさん報道されていていてぎゃふんとしたものでした。
そこから<今>の小さな幸福に触れていくまでを女性の心の目を通して描いた実に抒情豊かな大人の名篇。
ラスト近くの、鉄橋を挟んだ男女の緩やかな歩みの憂愁と温もりは忘れ難く心に沁み入る。