桃まつり presents "kiss!" へのコメントを頂きました

黒沢清
(映画監督)

"桃まつり" というタイトルは罠だ。
この9本を見る者は、きわめて重量級の緊張と衝撃とを覚悟せねばならない。
甘酸っぱさや気楽さをあてにした観客はひどい目にあうだろう。
女と男と社会との関係が驚くべき高密度で問い詰められ、
その果てに、警告としての、政治としての、破壊としての、
「KISS」というテロリズムが立ち上がる。そのすべてを目撃せよ!

“桃まつり”に誘われて次々に扉を開けたら、
世界が、まなざしが、触覚が、容赦なく飛びついてきた。
観る人の中に場所を占め、結びつき、消えなくなる映画たち。

柴崎友香
(作家)
大竹昭子
(作家)

どの作品もナマで、新鮮で、ひりひりする感じがした。
役者が演じた劇映画なのにドキュメンタリーに近い手触りがあるのも不思議。
たぶん作り手にとって切実なものが出ているからだろう。
その率直さ、正直さが、女の力だと思った。

若き女性監督9人によるオムニバス!
男性諸氏なら、何はともあれ心が浮き立つだろう。
間違ってない。映画なんてそんなものだ。
だが、全ての作品を見終わり帰宅したあなたは、こうつぶやくに違いない。
しまった!映画面白すぎて、ナンパするの忘れてた!

大寺眞輔
(映画批評家)
杉原賢彦
(映画批評・大学講師)

「桃まつり presents Kiss!」のなかに強く感じるのは、
映画へと向かおうとする思いだ。
まだ生まれてはこない映画が彼女たちのなかで身ごもられ、いま、胎動を始める。
そのかすかな、でも確かに聞こえくるその響きに耳を澄ます──。

作り手たちが映画制作から配給や宣伝までも自前でやっていく“桃まつり”。
ほんとうに新しいことは、こういう場所からしか生まれない気がする。

瀬々敬久
(映画監督)
持永昌也
(映画ライター)

あまい桃、怖い桃、スッパイ桃、熱い桃…。
スモモもモモも桃のうちとはいえ、ここまで多種多様でいいのでしょうか。
産地直送、とれたて新鮮!
あなた好みの桃も、きっとあるはず。
齧ってみないと味わえない。


桃まつり presents "kiss!" 参加作品へのコメントを頂きました

植岡喜晴
(映画監督)

『クシコスポスト』

突如出現した瑠璃色のブラックホールには、ただただ、ア然。なんじゃこれは?
それは少女の悲しい心にポッカリ開いた、空しい穴なのか?
それとも気まぐれな神様がお作りになった、迷いの穴なのか?
どっちかというと、そんなことどうだっていい穴なのか?
…よく判らない。よく判らないけど、映画史上屈指の、 このメローでラブリーな
ブラックホール出現に、心を揺さぶられないものなど、いないだろう。
こんなキテレツなやり方で、映画をぐるり大回転させてしまった
別府さんのエスプリと度胸に、投げキッスを送りたい。心憎く、すがすがしい。

『それを何と呼ぶ?』

『それを何と呼ぶ?』 というのは、“それを描かないで何を描くのか?”と云う事だ。
我々の生活の中の、政治と倫理を描いている。そして、ジリッと変容している。
サァ、どうする?

沖島勲
(映画監督)
万田珠実
(『接吻』
『UNloved』脚本)

『それを何と呼ぶ?』

長島良江の描く世界は、まるで固形スープの素だ。
前作の『さらば、愛しき女よ』に続いて、
今作も女と男、女と女の関係性だけが凝縮され、
短編1本に長編3本分くらいの物語が詰め込まれている。
もったいなくも贅沢な作品だ。

『それを何と呼ぶ?』

長島良江は男前である。それはすでに、表情ひとつ変えず斬り捨てる、
あの「シネ砦」の容赦なき文体(エクリチュール)にあらわれていた。
極限まで削ぎ落とされ、非情なる映像と音響によって描かれた、破局のキッスに、
世の男子共は震えあがることであろう。

安井豊
(映画評論家
「シネ砦」編集主幹)
上野尚偉
( テレビ番組
プロデューサー)

『たまゆら』

人生の岐路に立った時、不安な気持ちに襲われた時、
自分を助けてくれるのは誰だろう?
どんなときでも自分の味方になってくれる人は誰だろう?
主人公の凜には、あの人がいた。
じゃあ、自分にはそんな人はいるのだろうか?
そんなことを考えさせる作品です。
…その答えは、唇を交わしたあの人に会えば分かるかもしれない。

『たまゆら』

彼女の手が、身体の奥まった部分を守るかのようにしっかりと組み合わされる。
そこに護られているのは、ひとつの生命(いのち)と、
そしてまだ見ぬ映画……。
やがてぼくたちは、一瞬のたまゆらに新しい広がりを見つけだす──。

杉原賢彦
(映画批評・大学講師)
持永昌也
(映画ライター)

『たまゆら』

青春を終えようとする女性が、まぶしかった季節を振り返る。
あの頃の悔恨と向かいあう。
そのとき、よぎる想いとは…。
別離があって、再生がある。
青春が終わっても人生は続く。
そして阿久根裕子、女優復帰おめでとう!

『マコの敵』

篠原悦子の映画を見続けてきた者は、彼女が2つの顔を持つ作家
であることを御承知だろう。賭けに挑む演出家と優れた語り手である。
『マコの敵』にはこの2つの顔が混在してあらわれ、愛と嫉妬に
揺れ動くヒロインの心のように、テーマとなったベリーダンスで揺れ動 く
女の腰のように、最後まであなたを惹きつけるのだ。

赤坂大輔
(映画批評家)
万田邦敏
(映画監督)

『月夜のバニー』

とんでもなく悲惨で辛く荒みきった人間関係が不思議に魅力的に描かれるので、
不在の父親がいつチェーンソーを唸らせて帰還してくるのかとつい期待させる。
母親の芝居の純度100%のぎこちなさは、
それゆえにリアル芝居の腑抜けた現代映画を撃つ。必見。

『月夜のバニー』

映画のはじまり、微塵も揺るがない存在感をもつ
母親の登場でまず先制パンチを食らわされる。
それから、あの家に堂々と蠢く登場人物たち。
まがまがしさを確かに予感させる画面。
これから一体何が起こるのだろう、という、期待と興奮。
美学校時代の矢部さんの短編の断片が頭をよぎっていた。
当時から、「映画」について真剣に考え、
かたちにしていた人なんだなあと今になって、わかった気がする。

横浜聡子
(映画監督)
高橋洋
(脚本家・映画監督)

『収穫』

人間はみんなケダモノだ、それを受け入れよう!という丸ごとの全肯定。
まるで思いもしなかった回路から、
ルノワールが見つめていたような世界が立ち上がって来る。
作者はそんなこと考えていないかも知れないが。

『地蔵ノ辻』

河井青葉さんの美しさが印象的でした。

七里圭
(映画監督)
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