• 過去の桃まつり

    協賛

    弐のすき ステファニー・コルク『春まで十日間』

    • 13min./16:9/STEREO/Full HD/2012

                

      監督・脚本:ステファニー・コルク

      撮影:Hayo van Gemert

      照明:Sanne van Rossum

      録音・サウンドデザイン:Stefan Meutstege

      1st AD:Marjan Lammers

      Executive Producer:Niels Bourgonje

      編集:Leonie Hoever

      Production on set:Raymon Hilkman/Luuk Hoekx/Susanne Copini

      コンポーザー:Chris Christodoulou



      キャスト:山田美咲



    • あらすじ

      3.11の大震災の時、アムステルダム在住の若い日本人女性が日本にいるお母さんに電話をかけようとする。


       

       

       

       


    • 制作意図

      この作品を創るきっかけになったのは、現在オランダ在住で仙台出身の親友が去年の3月11日のあと、全く家族と連絡が取れず情報が得られないままの一週間を過ごしたことでした。 遠く離れた外国の地ではいつもと変わらない毎日を過ごしながら、未来も不確かのまま待つことしかできない主人公の人生のエピソードを描きたいと思いました。




      監督プロフィール

    • ステファニー・コルク Stefanie Kolk

      1986年オランダ出身。高校二年生の時に日本にホームステイしてから日本に強い興味をもち、物理生物・天文学専攻で一年間京都大学に留学。オランダの大学院を卒業してから映画を撮り始める決意をして半年たった今。 初監督の短編映画『OUT』はオランダ映画祭にて上映。ロッテルダム映画祭やカメラジャパン映画祭などで通訳も行っている。


      コメント

      技術の進歩により、海外で暮らしていても、私たちは携帯電話を使い、家族といつでもすぐに連絡が取れるようになった。しかし、その技術なしでは何も出来ないことが、災害時に露呈する。『春まで十日間』はえり(山田美咲)という、アムステルダムに住む若い女性のインティメートな肖像である。映画は、えりの母親が地震の前に残した、暖かい留守番メッセージで始まる。えりはすぐに電話を折り返すが、留守番電話になってしまう。その後大震災のことを知り、繰り返し何度も母親に連絡しようとするが、通じない。留守番メッセージにより、監督ステファニー・コルクは、衝撃、悲しみ、希望、絶望、そして諦めというえりの感情的な道を拓いてゆく。現代のヨーロッパ都市を舞台に、コルクは山田美咲の感動的な演技と美しい音楽とともに高まる不安感、外国で暮らす寂しさを実直に描いてくれた。

      Catherine Munroe Hotes(映画評論家)


       

      オランダの街、女の顔、ひたすら留守電に語りかける声。日本の混乱を描いた震災映画が溢れる中、ステファニーはひそやかな気迫で見る者を追い詰めていく。

      世界はこうやって日本を見つめてくれていたのでしょうか。その眼差しに、優しく包み込まれるようで、その静寂が、恐ろしいくらい胸に突き刺さった。

      杉野希妃(女優・プロデューサー)


       

      一年経った今、様々な形で大震災を描いた映画を観てきたが、「春まで十日間」が一番自分の経験と一致する。それは自分も遠くイギリスで見守ることしか出来なかったという事実の関わりもあるだろうが、それ以上に自分の見える世界は変わらずにいるのに世界の反対側では想像を超えた出来事が起きていると気付いた瞬間の心の重み、金縛りを思い出して再経験した。ただ空気を見つめる事しか出来なかった俺。去年の震災は日本だけではなく、世界にもひびを入れたという真実をステファニーは描いてくれた。

      ジュリアン ロス(英国リーズ大学 映画研究者)


       

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