• 過去の桃まつり

    協賛

    参のすき 佐藤麻衣子『LATE SHOW』

    • 26min./16:9/STEREO/HD/2012

                

      監督・脚本・編集:佐藤麻衣子

      撮影・照明:岡山佳弘

      撮影助手:地村俊也

      助監督:佐々木勝己

      録音:楠田俊浩/高田浩紀/舛田龍也

      美術:塩川節子

      美術助手:山田亜矢子

      音楽:榎坂和也/RAG SIX for Hi-A+ PRODUCTION

      整音:中島雄介(JIAMS)/森田康介



      キャスト:吉田みるく/うつだあずみ/市川太郎



    • あらすじ

      叔父の所有していた雑居ビルの屋上で、叔父への憧憬にひたって過ごすまもる。まもるの古い友人・ひろしは、頑なで大きな身体のまもるに昔から追従している。叔父の3回忌の日、叔父の集めたアメリカ映画がかかる屋上。地元のバイカーとたむろする少女が現れると、まもるは少女に興味を示し始める…。


       


    • 制作意図

      ひとたび「◯◯をすき」と言葉にしたときの、嘘っぽい、空虚な、言ったとたん「本当にすきなのか?」と考えてしまうような、「すき」の持つあの軽薄な印象は一体なんなのでしょうか。その軽薄な感じこそが、「すき」ということの実体ではないでしょうか。

               
       


      監督プロフィール

    • 佐藤麻衣子 SATO,Maiko

      1978年大阪府出身。京都外国語大学外国語学部英米語学科卒業。在学中より映像制作を試みる。卒業後、映画史と映画制作を学ぶため、大阪の上映室にて映写・翻訳などの運営、短編制作を続け現在に至る。最近作『ポンの氾濫』 (09) が調布映画祭にて入選。『かぞくのひけつ』 (07/小林聖太郎)、『ペデストリアンデッキの対話(仮称)』 (公開待機中/唐津正樹) などにスタッフとして参加。               


      コメント

      この映画が屋上で撮影されている間、たいがいわたしは階下にいて安ワインでへべれけになっていたのだが、できた映画を見て驚いた。そこには漆黒の闇があり、2人の男と1人の女、双眼鏡、映写機、そして翻える白い布がある。白い布は時に男たちの夢の投射を受け止め、時にバイクに股がった女を呼び込み、2つの意味の変容を映画に定着させる。こんなことは、映画にまみれたことのある人間にしか撮れないだろう。ただ見るだけではない、物質としてのフィルムと映写機にまみれたことのある人間という意味だ。ラストショットを見終え、プラネットプラスワンの映写を長く担当した佐藤さんこそ、この映画を撮るに相応しい方なのだと深く納得した。

      佐藤央(映画監督)


       

      本作の登場人物たちの心中にある欲求にはどこか斜が掛かっていて、度々訪れる「物語としての規程」から逸れるかのように各々の発言と行動は乖離していく。こちら側から寄り添う姿勢を見せようにも、スクリーンの光が彼らに向けられその表情を浮かび上がらせることは無く、別の光が当たる度"ポーズ"をとった彼らに担がれた気にさせられる。映画が終わって照明が点く一瞬の時間の中にしか、彼らの中にある真実を発見することは出来ないのかもしれない。

      唐津正樹(KyotoDU)


       

      物語を語らなくても解け出す物語がある筈といいたげに贅肉を寄せ付けない映像。

      アメリカとアメリカ映画への濃やかな愛を呑みこみながら、

      それを表明する野暮はごめんとあくまでクールな突っ張り方。

      ※全作品レビューより抜粋。全文はパンフレットをご覧ください。

      川口敦子(映画評論家)


       

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